一本桜紀行 - 小沢の桜

この一本桜紀行のシリーズもいよいよ3回目。
今回は、福島県田村市船引町にある「小沢の桜」を。2010年4月30日、5月1日の2日間で撮影。

この「小沢の桜」、樹齢は約100年、樹高は12~13mといったところで、さほど大きな桜ではない。
品種も東京近辺では最も良くみる染井吉野(ソメイヨシノ)。
過去2回で紹介してきた2本の桜はいずれもエドヒガンだったが、実はソメイヨシノの片親はそのエドヒガン。つまりソメイヨシノは人工的な交配種で、寿命も一般的には60年くらいまでだと言われている。ちなみに、もう一方の片親はオオシマザクラ。こちらは花が大きく、真っ白な桜である。なのでソメイヨシノは、花が大きめで見た目が華やか、色はほんのりピンクがかかるという両者の中間的な形質を持つ。

そんな「小沢の桜」であるが、その独特な樹形と周囲に広がる日本の原風景的な風情が人気の秘密のようだ。
2000年に公開の、田中麗奈主演の映画「はつ恋」のラストシーンの舞台ともなった桜でもあり、それでこの桜が全国的に知れ渡ることにもなり、日本を代表する人気の一本桜のひとつともなった。
桜の傍らにある祠の中には野仏と子安観音が祀られ、壁には桜の絵と「はつ恋」の字が。

さて、2010年4月30日、郡山駅で磐越東線に乗り換え、船引駅で下車。 時刻は18時すぎ。
ちなみに、この2駅手前(郡山寄り)は、あの「三春滝桜」の最寄り駅である三春駅だ。
駅に着いた時間はもう空が暗くなりかけていたので、桜へ直行するために駅前でタクシーを待つ。
が、なかなか来ない。。。 寒い。。。 次の日からはもう5月とはいえ、東北の春はまだ寒い。
待つこと20分ばかり、タクシーに乗り込み、国道349号沿いに立つ小沢の桜へ到着。

天気は雲が少なく、空はまだ青みが残る、ライトアップの撮影にはもってこいの状態。
この日は桜のライトアップの姿を撮る予定で、いいポジションを取るために右へ左へウロウロ。。。 
三脚にカメラをセットし、構図決めに入ったところ、たまたま隣にいた人が地元の方で、この桜のライトアップを撮るときは、空はとてもきれいな青に写るんですよ、と教えてくれた。
そこで実際に試し撮りをしてみると、なるほど本当に背景の空が見事に鮮やかな青で写る。
ちなみに、ライトアップを撮影する場合、基本は長秒露出といって、シャッターを何秒間も開けたままにして撮影する。なので三脚は必需品。
何枚か撮影していると、空はもう真っ暗になり完全な夜空となる。
すると、桜のすぐ近くの田んぼの水面にライトアップされた小沢の桜が見事に映しだされ、とても妖艶な姿が現出する。
そこで場所を移し、この構図が撮れる道路沿いの駐車場で再度撮影を。
風がない日だったので、田んぼの水面は見事な鏡面状態。まさに「水面に写る春」だ。
人気の桜だけに、他にもカメラマンは大勢。桜はライトを受けながら東北の春の夜に静かに佇み、カメラマンは歓喜と驚嘆の声で大賑わいという、よく分からない?状況へ。

そんなこんなで生まれて初めての一本桜のライトアップ撮影が実現できて本当によかった。
翌日の早朝にここを再度訪れ、その後他の桜も撮るために駅前に戻り、泊まる宿を探した。。

この桜、翌年以降の雪害で何本かの枝が折れ、今は樹形が変わって少し寂しくなっている。
自然の摂理とはいえ、残念でならない。

撮影:福島県田村市船引町(2010年4月,5月)
Canon EOS 5D MarkⅡ / Canon EF70-200m F4L IS USM

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